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エンディングノートだけじゃ不十分!司法書士が語る遺言書の必要性

カテゴリー: その他 遺言

更新日:2024.12.24

はじめに:エンディングノートに期待しすぎていませんか?

「エンディングノートさえ書いておけば安心」と考えている方は多いですが、実は法律的には何の効力も持ちません。今回は、エンディングノートと遺言書の違いを解説し、遺言書の重要性を司法書士の視点からお伝えします。


第1章:エンディングノートとは何か?できることとできないこと

:エンディングノートの役割は『想いを伝える』だけ

エンディングノートは、自分の最期に備えて家族や大切な人へ想いを伝えるための記録帳です。葬儀の希望や財産の概要、親しい人へのメッセージなどを自由に書き残せるため、「自分らしい最後」を準備するツールとして注目されています。しかし、エンディングノートだけで安心してはいけません。なぜなら、エンディングノートには法律的な効力がないためです。

まず、エンディングノートでできることは、遺族が抱える不安や迷いを軽減することです。たとえば、「どんな葬儀を希望していたのか?」「親しい友人にどのように連絡すればいいのか?」といった疑問に対し、エンディングノートが具体的な答えを提示してくれます。また、財産の一覧を記載することで、相続人が全体像を把握しやすくなり、遺産分割の準備を進める助けにもなります。

一方で、エンディングノートではできないこともあります。最大の制約は、法的な効力を持たないことです。たとえば、「この不動産は長男に渡したい」「預貯金の一部は特定の団体に寄付したい」といった意思を書いても、それはあくまで希望に過ぎず、法的に認められるものではありません。その結果、相続人間でトラブルが発生する可能性が高まります。

具体的な例として、エンディングノートに「長男に家を継がせたい」と記載しても、他の相続人が異議を唱えれば、その希望が尊重される保証はありません。遺言書があれば法的に効力を持つため、長男が家を継ぐことが確実になりますが、エンディングノートにはそうした力がないのです。

エンディングノートは、あくまで家族や関係者に気持ちを伝える補助的なツールです。相続や遺産分割など法的な問題を解決するためには、必ず遺言書を作成する必要があります。エンディングノートと遺言書を併用することで、感情的なメッセージと法的な効力の両方を兼ね備えた準備が可能になります。

家族に負担をかけないためにも、エンディングノートの役割と限界を正しく理解し、必要に応じて専門家に相談しながら遺言書を準備することが大切です。

第2章:遺言書が必要な理由とは?

遺言書は、あなたの「最後の意思」を法的に形にするための重要なツールです。エンディングノートが希望を伝えるためのツールであるのに対し、遺言書は法律上の効力を持ち、相続や財産分配において確実にその意思を実現するための役割を果たします。遺言書が必要な理由は、トラブルの回避、財産分配の明確化、相続人の負担軽減など、多岐にわたります。本章では、これらのポイントを事例を交えながら詳しく解説します。


トラブル回避のための「保険」

相続において、遺言書がない場合は民法に基づく「法定相続分」に従って財産が分配されます。しかし、現実には法定相続分通りに分けることが難しいケースが多く、相続人間での話し合いが必要となります。この過程で意見の相違や感情の対立が生じ、家族関係が崩れることも少なくありません。

たとえば、ある家庭で父親が亡くなり、法定相続人である母親と子ども2人が相続の話し合いを始めました。しかし、父親が特に面倒を見てもらっていた長男に多くの財産を譲りたいと考えていたことを母親が主張したため、次男が反発。感情的な対立が激化し、最終的に裁判にまで発展してしまったという事例があります。このケースでは、父親が遺言書を残していれば「長男にこの不動産を、次男には預貯金を」という形で具体的な分配が示され、無駄な争いを回避できた可能性が高いのです。


財産分配の明確化

遺言書を作成することで、自分の意思に基づいた財産分配が可能になります。たとえば、以下のようなケースを考えてみましょう。

  • 子どもがいない夫婦の場合
    配偶者がすべての財産を相続すると思われがちですが、配偶者だけでなく亡くなった方の兄弟姉妹も法定相続人になります。兄弟姉妹が多い場合、配偶者が十分な財産を相続できないリスクがあります。このような場合、遺言書で「すべての財産を配偶者に相続させる」と明記しておくことが重要です。
  • 再婚家庭の場合
    前妻との間に子どもがいる場合、再婚相手や新しい家族との間で財産分配が争点になることが多いです。遺言書で「前妻の子どもには特定の不動産を、新しい家族には預貯金を」と明記すれば、誤解や不平等感を防ぎやすくなります。

また、特定の相続人により多くの財産を譲りたい場合や、家族以外の人や団体(例えば、長年お世話になった知人や慈善団体)に財産を遺贈したい場合も、遺言書が必要不可欠です。


相続人の負担軽減

相続手続きは、遺産分割協議書の作成や不動産の名義変更、金融機関での手続きなど、煩雑で多くの時間と労力を要します。遺言書があれば、相続人は「この内容に従えばよい」という明確な指針を得られるため、手続きがスムーズに進みます。

特に、公正証書遺言であれば、その内容が公証人によって確認されているため、形式不備や内容の有効性を争うリスクが低く、遺産分割協議を省略することも可能です。これにより、相続人は精神的な負担を軽減し、迅速に次のステップに進むことができます。


遺言書が家族を守る

遺言書は、自分の意思を形にするだけでなく、家族を守るためのツールでもあります。遺言書を残さずに亡くなった場合、遺族は相続の話し合いをするたびに「どうして遺言を残してくれなかったのか」と感じ、故人への不満を抱くことさえあります。一方、遺言書があることで「こういう考えだったのだ」と理解でき、故人の意思を尊重しながら進められるため、感情的な衝突を避けやすくなります。


司法書士ができるサポート

以上のことから、遺言書を作成する際は、専門家のサポートを受けることが非常に重要だと考えています。私は、2005年に司法書士登録をして数多くのお客さまと接して参りました。相続に関する豊富な知識に基づき、相続人の調査、財産の確認、遺言書の作成支援まで一貫してサポートすることができます。また、公正証書遺言の作成を進める際も、手続きの段取りを整え、スムーズに進行できるよう支援します。


おわりに:遺言書で「安心」を形に

遺言書がなければ、家族はその意思を推測するしかありません。それが元でトラブルが発生したり、家族間での信頼関係が崩れてしまうこともあります。遺言書を作成することで、自分の意思を確実に伝え、家族が円満に相続手続きを進められる環境を整えることができます。トラブルを防ぎ、大切な人々を守るために、ぜひ私たちと相談しながら早めの準備を進めてみてください。

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司法書士事務所TOKITO