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認知症・相続対策情報

争族を防ぐには?

カテゴリー: 家族信託 遺言

更新日:2024.10.18

前回は、生前対策を取らずに認知症になってしまった場合のリスクについてご説明しました。

それでは、幸いにも認知症にはならず、けれども生前対策を取らずに相続を迎えてしまった場合には
どのようなリスクがあるのでしょうか。

今回は、相続人間で争ってしまう、いわゆる争族についてお話しをしたいと思います。

「うちの子供たちは皆仲が良いから、財産さえ残せばあとは子供たちで上手く分けてくれるだろう」

その考えは大丈夫でしょうか?

筆者は、遺産の規模に関わらず、それまで仲が良かった相続人間で争いに発展してしまう
ケースを幾度となく見聞きしてきました。

争族の原因を知る

日本における長寿化は、家族や本人にとって喜ばしい反面、実は新たなリスクにもつながります。

医療技術や介護サービスの進歩により、寿命が延びる一方で、老後に必要な生活費や介護費用を
どのくらい準備すべきか予測するのが難しくなってきているからです。

これにより、元気なうちに財産を自由に使いたいと思っていても、将来の不安から消費を控えたり、子や孫に資産を贈与できないという悩みが広がっています。
さらに、老老介護という状況も発生し、家族全体にかかる負担は増加傾向にあります。

長生きすればするほど、本人だけでなく家族も年を重ね、介護の負担が偏ることがあります。

この際、親自身が老後の希望や資産管理について家族と話し合い、意思を共有しておくことが、
将来の相続トラブルを未然に防ぐ鍵となります。
特に、親の老後の生活設計(収支も踏まえた)を家族全体でオープンにすることで、
親が元気なうちに家族全員が協力し合い、老後を支えるための計画が立てられます。

また親の介護に関する方針が家族で統一されていない場合、その介護に関する問題が争族につながることがあります。

例えば、親の介護を誰が担うのか、在宅で介護をするのか、それとも施設に入れるのかなど、家族の間で意見が分かれることは珍しくありません。
「親のお金を自由に使わせたい」と考える子供もいれば、「遺産が減るのはもったいないから節約すべきだ」と考える子供もいます。
このような意見の相違が原因で、介護方針が一致せず、親や家族にとって大きな負担となります。

このため、「争族」は親が亡くなった後に始まるものではなく、親が要介護状態になった段階からすでに始まっていることが多いです。
介護に関する方針の違いが、遺産分割時にさらなる争いを引き起こしやすくなります。

例えば、介護に大きく貢献した子供が、他の兄弟と均等に遺産を分けざるを得ない状況はどうでしょうか。これは遺言書がない場合や、親が生前に家族と十分な話し合いをしていない場合に起こりやすい問題です。

親が元気なうちに、自身の保有資産や老後の希望を家族と共有することが、相続トラブルを防ぐ最も効果的な手段です。
また、介護を中心的に担う子供やその配偶者に対して、適切な報酬や遺産の分配を考慮することも重要です。
これは、単に金額の均等な分配が平等な相続ではないという認識を家族全体で共有することが必要です。
親の老後を支える子供たちの負担や貢献度を正当に評価し、それに応じた相続計画を立てることこそが、真の「平等な相続」といえます。

相続に関する話題はデリケートなため、話し合いが避けられることが多いですが、
結論としては、家族全員が「老い」に向き合い、親の希望や財産についてオープンに話し合うことが、将来の争族を防ぐための最良の方法です。

親が元気なうちに家族の間で意思を共有し、適切な遺産分配や財産管理の仕組みを構築することが、
家族全体にとっても親自身にとっても大きな安心をもたらします。

最後にCMで恐縮ですが、私たちでは家族会議同席サービスということも行っています。
対策が必要なことは分かったけれども、何から始めたら良いのか分からないという方におすすめしております。
親が思い切って子に情報(資産や収入支出)を開示しつつ、親の希望と子の希望を共有します。

その場に専門家が同席して、疑問にお答えしたり家族会議の進行をサポートさせて頂きます。

争族は誰も望んでいません。備えることで防ぐことができます。

お気軽にお問い合わせください

一般社団法人つくば認知症・相続対策財産管理センター