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終活 相続に備えて預金口座を整理しませんか?司法書士が解説する賢い口座管理術

カテゴリー: 家族信託 遺言

更新日:2025.03.29

 

当事務所では、相続や遺言、家族信託の手続きについて、シニア世代とそのご家族の皆様に分かりやすく解説することを心掛けております。

 

今回は、終活の一環として、相続に備えた預金口座の整理についてお話ししたいと思います。

なぜ預金口座の整理が必要なのでしょうか?

もしもの時、預金口座の数が多すぎると、相続手続きが非常に煩雑になる可能性があります。

相続が発生した場合、相続人の方はそれぞれの金融機関で相続手続きを行う必要があり、金融機関ごとに戸籍謄本などの書類を提出し、払い戻しの手続きを進めていかなければなりません。

複数の金融機関に口座をお持ちの場合、それぞれの支店に出向いて手続きを行う必要があり、一度の手続きに1時間、2時間と時間がかかることもあります。さらに、銀行によっては、書類を本部へ送付し、後日改めて来店が必要になるなど、何度も足を運ばなければならないケースも少なくありません。

また、銀行の窓口は基本的に平日の午前9時から午後3時までと営業時間が限られていることが多いため、働いている相続人の方にとっては、時間的な負担が非常に大きくなってしまいます。

このような理由から、生前に預金口座をある程度まとめておくことは、相続発生後の相続人の負担を軽減する上で非常に有効な手段と言えるでしょう。

口座をまとめる際の注意点

しかしながら、預金口座を一つにまとめてしまうことには、いくつかの注意点があります。

認知症による口座凍結リスク

もし口座名義人の方が認知症になってしまった場合、金融機関によっては口座が凍結され、引き出しなどの取引ができなくなる可能性があります。生活費など、急に資金が必要になった場合に、口座が凍結されていると非常に困ってしまうことが考えられます。

金融機関の破綻(ペイオフ対策)

また、万が一、金融機関が破綻した場合、預金保険制度によって保護されるのは、一つの金融機関につき、預金者一人あたり元本1,000万円とその利息までとなります。もし一つの金融機関に1,000万円を超える預金がある場合、破綻時にはその超過分は保護されない可能性があるのです。

このようなリスクを考慮すると、認知症による口座凍結のリスクとペイオフ対策を踏まえながら、預金口座をいくつかに分けて管理することが望ましいと言えるでしょう。一般的には、個々の事情にもよりますが、口座前後にまとめるのが良いのではないかと思います。

認知症による引き出し困難への対策

認知症によってご本人が預金の引き出しが困難になる事態に備えて、いくつかの対策を講じておくことが考えられます。

キャッシュカードを家族に預け、暗証番号を伝えておく、これにより、ご本人が認知症になったとしても、ご家族が代わりに引き出しを行うことが事実上可能になります。ただし、これは法的な権限に基づくものではないため、家族間で争いがある場合は問題になる可能性があることに注意が必要です。また、キャッシュカードの紛失や磁気不良で使用できなくなるリスクもあります。さらに、年齢とともに1日の引き出し限度額が設定される場合もあります。

任意代理人の届出:ご本人の判断能力がしっかりしているうちに、銀行に任意代理人の届け出をしておくという方法があります。例えば、お子様を任意代理人に指定しておくと、その後ご本人の判断能力が低下した場合でも、**任意代理人であるお子様が預金の出し入れを継続できる**場合があります。ただし、この制度はすべての金融機関にあるわけではないため、事前に取引のある銀行に確認が必要です。

金融機関破綻への対策(ペイオフ対策)

預金が1,000万円を超える場合は、複数の金融機関に分けて預けておくことが基本的な対策となります。例えば、3,000万円の預金がある場合は、A銀行、B銀行、C銀行にそれぞれ1,000万円ずつ預けておくといった具合です。

もし預金額が多く、複数の金融機関に分散するのが煩雑だと感じる場合は、無利息型の普通預金口座への切り替えを検討するのも一つの手段です。無利息型普通預金は、利息がつかない代わりに、金融機関が破綻した場合でも全額が保護の対象となります。現在、低金利の状況では、普通預金に預けていてもわずかな利息しか得られないことも多いため、全額保護される無利息型普通預金への切り替えは有効な選択肢と言えるかもしれません。多くの銀行で、通常の普通預金から無利息型普通預金への切り替えが可能であると考えられますので、取引のある金融機関に問い合わせてみることをお勧めします。

相続人が困らないために:預金口座の一覧表を作成しましょう

相続が発生した後、相続人の方が預金口座の存在や詳細を把握できずに困ってしまうケースがあります。通帳やキャッシュカードが見当たらない場合や、インターネットバンキングのみを利用していて手がかりがない場合、故人の預金がそのままになってしまう可能性も否定できません。

このような事態を防ぐために、生前にご自身の預金口座の一覧表を作成しておくことを強くお勧めします。一覧表には、以下の情報を記載しておくと良いでしょう。

* 金融機関名
* 支店名
* 預金種別(普通預金、定期預金など)
* 口座番号
* 名義人(ご自身の名前)
* インターネットバンキングのID(もしあれば)
* その他備考(必要に応じて)

暗証番号は記載しないように注意してください。一覧表は、相続人の方が容易に見つけられる場所に保管しておきましょう。

自動引き落としの整理も忘れずに

預金口座からの自動引き落としについても、整理しておくことが大切です。公共料金や電話料金、クレジットカードの引き落としなど、どのようなものがどの口座から引き落とされているかを一覧にしておきましょう。

口座名義人が亡くなると、金融機関がその事実を把握した時点で口座が凍結され、自動引き落としができなくなる可能性があります。これにより、公共料金の支払いが滞ってしまうなどのトラブルが生じることも考えられます。事前に自動引き落としの一覧を作成しておけば、相続発生後に、引き落とし先の口座を変更するなどの対応をスムーズに行うことができます。

遺言書の作成も有効な手段です

相続手続きをよりスムーズに進めるためには、遺言書の作成も非常に有効な手段となります。

預金口座が凍結された場合、その払い戻し手続きには原則として相続人全員の署名と捺印がされた遺産分割協議書と、相続人全員の印鑑証明書、そして相続関係を証明する戸籍謄本一式が必要となります。

しかし、相続人の中に連絡が取れない人がいたり、認知症などで判断能力がない人がいたり、相続人間で遺産の分け方について意見が対立しているような場合には、遺産分割協議が難航し、預金の払い戻し手続きが進まない可能性があります。また、思わぬ人が相続人となるケース(例えば、お子様のいない夫婦の場合の故人の兄弟姉妹や、離婚した前妻との間のお子様など)もあり、遺産分割協議がさらに複雑になることもあります。

遺言書を作成しておけば、相続人全員の遺産分割協議を経ることなく、遺言書の内容に基づいて預貯金の相続手続きを進めることができます。遺言書は、相続人全員の協力が得られない可能性がある場合に、非常に有効な対策となります。

遺言書には、ご自身で手書きする自筆証書遺言と、公証役場で公証人に作成してもらう公正証書遺言がありますが、法的な不備がなく、より確実なのは公正証書遺言です。公正証書遺言の作成には証人が必要となりますが、公証人が内容を確認してくれるため、無効になるリスクを減らすことができます。当事務所でも、公正証書遺言の作成支援を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

今回は、相続に備えた預金口座の整理について解説しました。

* 預金口座が多いと相続手続きが大変になるため、ある程度整理しておくことが望ましい。
* ただし、口座を一つにまとめすぎると、認知症による凍結リスクやペイオフ対策の面で注意が必要。
* 認知症による引き出し困難には、キャッシュカードの共有や任意代理人の届け出といった対策がある。
* 金融機関破綻への対策としては、預金の分散や無利息型普通預金への切り替えが考えられる.
* 相続人がスムーズに手続きを進められるよう、預金口座の一覧表を作成しておきましょう。
* 自動引き落としについても整理しておくことが大切です.
* 相続人間での遺産分割協議が難しい可能性がある場合は、遺言書の作成を検討しましょう.

当事務所では、相続手続き、遺言書作成、家族信託など、相続に関する様々なご相談を承っております。初回面談相談は無料ですので、お気軽にお電話またはホームページからお問い合わせください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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