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認知症・相続対策情報

認知症による資産凍結に備える

カテゴリー: 任意後見 家族信託

更新日:2024.10.16

令和6年6月21日、内閣府から令和6年版の高齢社会白書が公表されました。 この白書は、高齢化の状況や政府が講じた高齢社会対策の実施の状況等について明らかにしているものです。 今回の白書で報告されている高齢化の状況は、次のとおりです。


・我が国の総人口は、令和5年10月1日現在、1億2,435万人です。

・65歳以上人口は、3,623万人で総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は「29.1%」。

・令和52(2070)年には、2.6人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上になっていると推計。

資産管理という観点で見た時に、高齢化には大きなリスクがあることをご存知でしょうか。言い換えると「認知症などになって、自分の財産が使えなくなってしまう」というリスクです。
これを「資産凍結」と言います。

今回は、この資産凍結についてお話しをしていきたいと思います。

このブログをお読み下さっている皆様は、老後について具体的に対策を取られているでしょうか?

人間ですので当然いつかは相続を迎えます。そして、相続の直前まで健康でいること、これは誰もが望むところではありますが、残念ながらそうとは限らないのが現実なのですね。

下の図は、厚生労働省の発表による平均寿命と健康寿命の差の統計になります。

年齢の差部分は、大小の差はありますが、誰かのお世話にならないといけない年数を表しています。人生の後半10年間は誰かの介助が必要になるというのが現実なのです。

また次の図は、認知症の有病率のグラフです。横軸は年齢層を、縦軸は認知症の有病率を表しています。例えば、80歳から84歳の年齢層の場合、男性の認知症の有病率は16.8%、女性は24.2%になります。特に80歳代以降、認知症の発症リスクが急激に高まることがわかります。

引用:九州大学大学院「認知症及び軽度認知症障害の有病率調査並びに将来推計に関する研究」

それでは認知症になった場合、どんな不自由が出てくるのでしょうか。

民法という法律上、認知症を発症して判断能力が低下してしまうと法律行為が制限されてしまう可能性があります。そもそもですが、生前対策自体も契約行為なので、認知症を発症して判断能力が低下してしまうとできません(ただ判断能力の程度によっては可能な場合もありますが)

例えば

不動産を売却したり、賃貸不動産のオーナーさんであれば大規模修繕が難しくなったり、銀行からお金を引き出すことも難しくなります。

賃貸不動産をお持ちでなかったとしても、例えばご自宅を所有されていて、将来自分たちが高齢になって自宅に住むことが難しくなったきた場合にはどこか施設に入ることを考えていたとします。その時にその自宅は、売却するか賃貸に出して施設の費用に当てたい。このようなことも認知症になってしまうと難しくなります。

銀行からお金を引き出すときは本人からキャッシュカードを借りればいいじゃないか?とお考えの方もいるかもしれません(おすすめはしません)。でも磁気不良でカード使用不可になってしまうとカード再発行には銀行による本人確認手続きが必要です。

相続税対策をとっていくこともできなくなります。相続税対策として生命保険に加入するとか、アパートを建築して資産を圧縮するとかそのようなこともできません。私は司法書士ですが、税理士さんに言わせると適切に対策さえ取っておけば相続税は非課税にできたり、納税額を少なくすることが可能なようです。

予めできる時に適切な対策を取っておくこと。

そうすることで資産を防衛することが可能になり、子や孫の世代の安心につながります。

そしてその対策はいつまでもできる訳ではないこともご説明しました。

「生前対策が必要な事は分かったけど自分にはまだ必要ないと思う」

本当にそうですか?

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一般社団法人つくば認知症・相続対策財産管理センター